アメフト部

NFLとNCAA footballについてあれこれ

MENU

アメフトを勉強しよう〜ウエストコーストオフェンス〜

 こんにちは。夜暑い!いや、「去年に比べたらそんなことはない」ってこの前言うたばっかりですが、なんとなく暑い。ベッドで寝るのはやはりキツい。寝苦しい夜の対策、みなさんはどうしてますか?わたしはフローリングで寝てます。起きたら身体バキバキ、もしくは起きたら汗ビチョビチョ、この2択に迫られる今日この頃。

 

f:id:amefoot-bu:20190807011438j:plain

West Coast Rapの著名人

 さて、戦術予想も終わり、「プレシーズンまで少し時間があるぞ。どないしよ」と悩んでいたところ、そういえばお勉強シリーズいうのがあったなと思い出しました。戦術予想でウエストコーストという言葉を耳に🐙ができるほど聞いたかと思います。現代フットボール3大戦術のひとつであり、リーグで最も幅を利かせている戦術ではないでしょうか。今回はそんなウエストコーストオフェンスについて説明していきます。

 

 

レイコールシステムのひとつ

 戦術予想でも言ったとおり、ウエストコーストとエア・コリエル、アーハート・パーキンス(E-P)の現代フットボール3大戦術は元々はプレイコールのシステムです。試合中、プレイとプレイの合間に選手が集まってヒソヒソ話をします。これをハドルと言い、QBが次のプレイをオフェンスメンバーに伝えます。フォーメーションやプレイなどを暗号化して伝え、オフェンスはそのとおりにセットしてからプレイを始めます。ウエストコーストのプレイコールはどんな感じかと言うと下記のとおり。

※前提としてここでは古典的な21パーソネルで進めます。

 

[Strong Right Slot "Z" Right Spider 2 Y Banana]

 なんのこっちゃ分からん。無理もありません。調べるまでわたしも分かりませんでした。 われわれがやっていたフットボールなんてしょせんおままごと。適当にパスコースを組み合わせたプレイコールしか経験ありません。これだけでどんなプレイかわかる方は相当の通です。ではひとつずつ説明します。

 

Right Strong Slot

ここまででフォーメーションを表します。Rightだけで表すとこんな感じ。

f:id:amefoot-bu:20190806235420p:plain

Right

よくあるI-formationです。I-formationの呼び名もあるのでしょうがここでは省略されています。正確に言うなら多分Greenという単語が前に入ります。Rightがストロングサイド、つまりTEがセットする位置を表します。だから右ストロングのI-formationということ。

 

次にStrong Rightまでいきましょう。

f:id:amefoot-bu:20190806235606p:plain

Strong Right

FBが右にオフセットになりました。FBがストロングサイドにオフセットするという意味がStrongです。

 

では次はSlotという単語が入ってきます。

f:id:amefoot-bu:20190806235652p:plain

Strong Right Slot

Slotとはフランカーのアラインメントを指します。フランカーとはZのこと。さっきまで右端にいたZがスロットの位置にいます。これでフォーメーションの説明は終わり。ここまではOK?ダメでも次に行きます。

 

"Z" Right

これはモーションを表します。

f:id:amefoot-bu:20190807001948p:plain

Strong Right Slot "Z" Right

線が汚くてすみません。波線を綺麗に描く方法がわかりませんでした。

要はZがそのまま右にモーションするだけ。

これでプレイが始まるまでの説明が終わりました。

 

Spider 2 Y Banana

ようやくここまで来ました。あともう少し。

まずはSpider 2です。

f:id:amefoot-bu:20190807002813p:plain

Strong Right Slot "Z" Right Spider 2

Spider 2はスライドプロテクションのこと。スライドプロテクションはどちらか一方にパスプロをスライドさせることです。通常はパスプロする際は内側のホールを見ることが多いです。スライドプロテクションでは左右どちらかのホール負担に変わります。Spider自体がスライドプロテクションを表しますが、それだけではどっちにスライドするのかわからないので数字が入ります。2は左という意味です。

 

最後にY Bananaです。

f:id:amefoot-bu:20190807003922p:plain

Strong Right Slot "Z" Right Spider 2 Y Banana

すごいぐちゃぐちゃになってしまった。これはPowerフェイクのプレイアクションです。まずYがCorner、FBがDEをキックアウトするフリしてFlat、Zが深い方のShallow Cross、Xが浅い方のShallow Crossとそれぞれのルートを走ります。BananaはYのコーナーがバナナに見えるからとかそうじゃないとか。見えへんけど。ちなみにこれはレイダースのHCジョン・グルーデンイチオシのプレイです。

 

 締めにグルーデンがマーカス・マリオタにこのプレイを教えている動画を貼っておきます。

www.youtube.com

「誰でも最初は一緒さ。一緒に勉強していこう」by マリオタ 

 

 では実際にこのプレイはどのように動くのか試合映像で見てみましょう。

www.youtube.com

「That's a beautiful banana」

 

 それぞれ覚える事柄が分割されているので、覚え方は簡単です。反面、プレイコールが長く複雑というデメリットがあります。簡単やのに複雑とはこれいかに。実際、覚え方としてはシンプルですが、ハドルの場面で長いと「え?なんて?」となることがあります。アメフト界の底辺でしか経験のないわたしはウエストコーストとかいうしっかりしたシステムの下でプレイしたことはないので、NFLでのハドルがどんなものかはわかりません。しかし、クラウドノイズや歓声がある中であまりに長いプレイコールはなかなかしんどいと思います。下の動画は「え、なんて?」集。

www.youtube.com

 プロでもこんな感じになるので聞き取りづらいのでしょう。

 

プレイスタイル

 プレイコールについてはそこまで真剣に考える必要はありません。大事なのはどのようなプレイ選択をするかです。何回かこのブログでも書きましたが、一般的にウエストコーストというオフェンスはディフェンスを横に広げる戦い方です。まず、大前提としてオフェンスはディフェンスをできるだけ散らばせたい考え方があります。人口密度が高い場所でボールを運ぶより、キャリアーに広いオープンフィールドを走らせる方が安全にヤードを稼ぐことができます。狭っ苦しい所で大人数に囲んだ方がオープンでの1対1よりタックルしやすいことは想像すれば簡単にわかることだと思います。

 ではどんなプレイ選択をするかと言うとランの場合はゾーン、パスの場合は3歩か5歩のショートレンジ、スクリーン、プレイアクションが多くなります。ウエストコーストの基本理念にショートパスをランの代わりに使い、小刻みにテンポ良くボールを進めるという考えがあります。「早いタイミングでインターセプトの危険性が少ないパスを通していけばランと同じでしょ」ということです。ランはおまけ程度に使います。また、モーションを多用する傾向にあり、これはマッチアップで勝てるとこを探すためです。

 

実際にどんなアサインメントがあるのかはGoogleで画像検索すればいっぱい出てきます。箸休めに最近のウエストコーストの動画を。

www.youtube.com

 

エストコーストオフェンスの歴史

 ウエストコーストオフェンスは現在までにさまざまな進化をとげてきました。元々のルーツは1969年まで遡ります。当時、ベンガルズでQBコーチを務め、プレイコールを担当していたビル・ウォルシュ(Bill Walsh)は新人先発QBグレッグ・クック(Greg Cook)を肩のローテーターカフの負傷により失います。その後、彼の肩に負担がかからないようにスラントやスイングなどの短いパスコースを多用したことがウエストコーストの始まりです。

 オハイオ州シンシナティで生まれたはずのオフェンスにも関わらず、ウエストコーストと呼ばれるのはもうひとつ有名なオフェンス戦術であったエア・コリエルオフェンスが原因です。エア・コリエルと言えば、70年代にサンディエゴチャージャースのコーチだったドン・コリエル(Don Coryell)によって有名になった戦術です。90年代に入り、バーニー・コーザー(Bernie Kosar)はエア・コリエルをウエストコーストと呼んでいましたが、テレビのリポーターが勘違いしたことからウォルシュのスタイルをウエストコーストと呼び、これが一般に広まってシンシナティ発の戦術がウエストコーストと呼ばれるようになりました。

 それから、マイク・シャナハン(Mike Shanahan)やマイク・マッカーシー(Mike McCarthy)、アンディ・リード(Andy Reid)、ジョン・グルーデン(Jon Gruden)らがウエストコーストオフェンスを使い、活躍しました。こうして現代フットボールにウエストコーストオフェンスが広まったのです。

 

まとめ

 最近疲れるもんばっかり書いてる。でもこういうの分かった方が楽しいと思います。次回があるとすれば残りのエア・コリエルとE-Pオフェンスについても書こうかと思います。プレシーズンが始まってからはそっち優先で。