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アメフトを勉強しよう〜ディフェンスのプレイ〜

 こんにちは。わたしはディスカバリーチャンネルとかナショナルジオグラフィックなどのテレビが好きなんですが、先日、驚きの事実を知りました。自然紀行番組でアメリカのイエローストーン国立公園が紹介されており、そこに生息するビッグホーンというヒツジは頭蓋骨が2層構造になっているそうです。ケンカの時に頭突きを繰り返すので、衝撃から脳を守る仕組みになっています。個人的にヒットが硬い選手のことを「頭蓋骨の中に頭蓋骨が入ってる」と形容していましたが、まさか本当にそんな生き物が存在するとは思いもよりませんでした。羨ましい。

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 みなさんにも見て欲しくて動画を探してきました。我々はアメフトをする時に首のケガや脳震盪を防ぐために必ずHeads Upと指導されます。しかし、ヒツジはHeads Downでヒットするんですね。ズルい!時々、四足歩行動物のフィジカルが羨ましく思えます。それにしてもこうやって見るとヒツジって結構目つきヤバいですね。そら角刺さるとか気にせんと頭突きするわ。

 閑話休題。アメフトのお勉強は続きます。前回はオフェンスのプレイについて説明しました。理解は進んできましたか?今回はディフェンスのプレイについて解説します。わたしの本業はディフェンスでしたので、アメフトの面白さはディフェンスにあると思っています。ディフェンスがいかにオフェンスを潰すか紹介していきましょう。

 

ランディフェンス

 ランディフェンスで重要なことはランを止めるのはフロント7の仕事だということです。もちろんDBもランサポートに入ったり、アサインメントによっては重要な役割を任されることもありますが、基本はフロント7で止めてナンボです。まずは基本的なギャップ負担から学んでいきます。

 

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4-3のギャップ負担

 まず、基本的なディフェンスのギャップ負担は上の図の通りです。しかし、プレイサイドやプレイによってギャップ負担は変わります。次はプレイごとのギャップ負担。

 

パワー

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Power

 まず、おさらいとしてパワーのアサインメントを確認しましょう。

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Power Defense

 パワーはRBがFBのキックアウトの内側を走り抜けるプレイです。このRBが走るギャップをPOA(ポイントオブアタック)と言います。ディフェンスはPOAを潰しに行くのが基本です。1番のキモは右のDEです。通常であれば彼はボックスの外側を守るのが役割ですが、パワーの場合はそうはいきません。FBのキックアウトに対し、DEはスピルテクニックと言い、内側にカチコミにいきます。FBとプルしてきたLGを同時に潰すのです。どうやるかというとFBの内側に頭を入れて思いっきりブッこむ、これだけです。LGはプルのコースを無くしてしまえばブロックに出ることができません。これでPOAは崩壊です。そうなるとRBは外側に逃げます。そこへサムが上がってくるというわけです。通常のギャップ負担を交代することを「G変」とか言ったりしました。そのほか、ディフェンダーは各々の相手にマンパワーで負けない。これがパワーの潰し方です。

 

オプション

 

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Dive Option

 こちらもアサインメントをおさらい。

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Option Defense

 画像の使い回しがよくわかりますね。ポジションが書いてあったりなかったり、ご容赦ください。マイク、両DTの3人はまずダイブを潰しに行きます。右のDEとサムの2人が責任重大です。上の図はわたしが大学時代にやってた守り方です。オフェンスはTEがアウトサイドリリースでサムをブロックしに行きます(通常、OLBがRBを見るので)。ここではサムはQBにタックルします。そしてDEがRBを担当します。逆にTEがインサイドリリースでDEの内側を抜けてサムにブロックする場合は役割を交代します。コツはアウトサイドリリースかインサイドリリースを見極めることです。それによってどちらがQBを担当するか変わります。実際にやってみるとDEとOLBはブロックされないので、絶対潰せます。先ほどのパワーの潰し方同様、これもG変です。

 

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 ちょっとディフェンスの動画が見つかりません。なんでオフェンスばっかり動画があるんでしょうか?良い動画をご存知の方は教えてください。ちなみに上の動画はオハイオ州立のディフェンス対アーミーです。アーミーのオフェンスは化石みたいに古いオフェンスをします。わたしの書いた方法とは違いますが、どのように守るかよくわかります。

 ランディフェンスはアメフトの基本である1対1で負けないということが如実に結果として現れます。男臭さ満点で最高です。いいタックル決めると全能感が身体を満たします。アメコミとかアクション映画を観終わった後に「いまならなんでもできる」となるあの感覚です。

 

パスディフェンス

 パスディフェンスには主に2種類のカバーがあります。マンカバーとゾーンカバーです。まずはカバーの違いについて学びましょう。

 

ゾーンカバー

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Cover 2

 上の図をご覧ください。これがパスカバーのゾーンです。ゾーンはディープと手前のアンダーニースと大まかに2つに分けられます。上はそのまま各ディフェンダーがそのままの位置を守ります。これはカバー2と言い、ゾーンカバーでは最もポピュラーなものです。2という数字はディープゾーンを何人で守るかによって分けられます。アンダーニースを守るディフェンダーバンプと言って縦に抜けようとするレシーバーにヒットすることでルートを走るのを邪魔します。そうするとディープのカバーは楽になります。

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 わたしのお気に入りであるソロモン・ウィルコッツに解説してもらいます。

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Cover 3

 ディフェンダーがローテーションして、ディープを3人で守ります。ということでこちらはカバー3。ディープを3人で守ることで、カバー2よりも縦は分厚く守れます。

 ゾーンカバーはその名のとおり、フィールドを区分けしてそれぞれ担当ゾーンを守ります。このほか、さらにディープの守りを厚くするカバー4もあります。ゾーンカバーの弱点はゾーンの切れ目です。ゾーンの切れ目をシームと言います。ディフェンダーは自分の持ち場を離れられないため、レシーバーがゾーンからゾーンへ移動する時に移動先のディフェンダーへ受け渡します。その受け渡しのシームに差し掛かる時がオフェンスにとって1番の狙い目なのです。フラットとカールゾーンの間なんか特に狙い目です。LBのカバーの下がり方で大体どういうカバーか分かるので、QBはそれを見てパスを投げる場所を決めます。また、ゾーンカバーはディープを手厚くすればアンダーニースが手薄になり、その逆も然りです。人数によって守れる範囲は限界があります。

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 前職の関係で多少英語は分かりますが、ネイティブの英語は聞き取れないという致命的欠点をわたしは抱えています。英語がわかる方は上の動画を参考にゾーンカバーの使い方を知ってください。

 

マンカバー

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Cover 2 man

 一方こちらはマンカバー。マンカバーも名前どおりです。WRにCB、TEにLB、RBにLBとそれぞれ担当する相手がいます。何があっても彼らから離れてはいけません。上の図ではSは誰も任されていません。では何をするかというとディープゾーンを守ります。なのでカバー2マンという名前なのです。Sは万一ディープで誰かが抜かれた時の保険というわけです。

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 マンカバーの練習風景。大体CBはやられます。

 マンカバーではほかにSSがTEをカバーし、FSのみでディープを守るカバー1という守り方もあります。マンカバーはゾーンと違い、シームがないので最後までカバーが途切れることなく守れます。しかし、フィールドを横切るルートには弱いのです。どうしても後手に回ってしまうため横に走られるとカバーを千切られやすいです。それとレシーバーが交錯するルートでディフェンダー同士がぶつかってしまうということも発生します。オフェンスはこれを狙ってわざとディフェンダー同士をぶつけるピックルートというパスルートを走らせることもあり、ゴール前やショートヤードが欲しい場面で使ってきます。これを防ぐため、ディフェンスはセット位置をずらします。具体的にはCBがWRにピッタリ張り付いてセットし、LBやSはTEやスロットレシーバーにクッションを取ってカバーします。

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Bunchの時のつき方

 上の写真を見ると分かるとおり、手前の3人のうち、2人は前にセットしていますが、Sはゆとりを持ってフィールドの奥にセットしています。

 

 プロフットボールフォーカスによると、パスカバー全体ではゾーンカバーが約6割と主流です。マンカバーはレシーバーが有利なので、限られたチームか場面でのみ使います。

 

ブリッツ

 ランとパスの守り方は大雑把に説明しました。ここからは細かい戦術の話。ブリッツというワードをよく聞くかと思います。ブリッツとはLBなりDBをあらかじめ決まったホールに突っ込ませることです。どこのホールに誰をブリッツさせるかは山ほどパターンがあります。ディフェンスはオフェンスの動きを見て後手に回る印象ですが、ブリッツを使えば先手必勝。狙い通りに行けばサックやロスタックルも可能です。

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 これまた埋め込み動画になりません。イーグルスのおっちゃんの動画はこうなります。色々なブリッツを解説してくれています。ゾーンブリッツは誰かをブリッツに入れる代わりに誰かをパスカバーに下げます。オーバーロードはプロテクションを上回る人数をブリッツに入れるプレイです。ブリッツは入れれば入れるほどQBへのプレッシャーは増す一方、パスカバーは手薄になります。ブリッツを入れまくると大抵マンカバーになります。しかし、先の動画で見たようにビッタリ張り付き続けられるCBはごく僅かなエリートのみです。そのため、優秀なCBがいるチームは存分にパスラッシュに人手を割けるのです。逆の考え方で言うと、DLさえはちゃめちゃに強ければ、ブリッツを入れる必要など無いということも言えます。現実はそんな簡単な話ではありませんが。

 

スタンツ

 ブリッツはDL以外のディフェンダーをホールに突っ込ませることでオフェンスの混乱を誘います。一方スタンツはDLがラッシュするホールを変えます。内と外でクロスすることでOLは誰をプロテクションすればいいのか一瞬分からなくなります。このように相手を混乱させることをディスガイズと言います。

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 見ればよく分かります。NFLレベルのOLは全く分からなくなることはありませんが、それでもポケットを崩すことはできます。

 

スパイ

 ジェームズ・ボンドのことではありません。フロント7の誰かが担当することが多いプレイで、QBを見張るのです。よく走るQBっていますよね。ディフェンスからすればあれってすごく鬱陶しいんです。せっかくポケットが崩れたと思ったら走り出してロングゲイン... 理想的なパスラッシュをかければポケットが全体的に縮まり、逃げ場なくサックできるのですが、現実はそううまくいきません。そこで誰かQBの見張りをつけて走り出したら追いかけてタックルするだけ。モバイルQBを黙らせるにはこれが1番です。その代わりパスカバーに割く人数は減ります。これだけ動画が見つかりませんでした。正確にはゲームの動画ばっかりでろくな教材がありません。また良いのあれば教えてください。

 

まとめ

 いかがでしたか?少しはみなさんのお役に立てたでしょうか?戦術が分かれば見るのも面白くなります。インスタントリプレイで解説が言っていることも理解できるので、「なるほどな。こいつが悪いから止まったんか」とか「こいつのおかげでTD防げた」が分かります。やっぱり何も分からずボールを追っかけるよりボールの進め方、止め方まで分かる方が1億倍良いに決まってます。アメフトはまだまだ奥深いのです。お勉強シリーズはこれからも良いのが思いついたらやっていこうと思います。選手情報はあまり詳しくないですし、そればっかりでは経験者らしくないもんね。